
二ホンスイセン
12月の半ばごろから翌年の2月いっぱいぐらいまで、花の少ない時期に白い可憐な花を咲かす。
20年以上まえ有休を取って、家内と千葉県鋸南町の水仙まつりを見に行った。
麓から丘の上まで、道の両側と見上げる斜面に咲く満開の水仙を楽しんだ。
その日は御宿町の友人宅に泊り、翌日大多喜町を経由して東京へもどる事にしていた。
大多喜駅前の無料駐車場に車を止め、緩い坂道を登ってお城を見にいった。
ちなみに、大多喜駅の正面に掲げられた駅名は「デンタルサポート大多喜」と書かれていた。
採算の厳しい第三セクターのいすみ鉄道は、命名権を売って少しでも足しにしようという努力が伺え、他にも三育学院大学久が原など何駅か広告付きの駅名がある。
お城から帰る途中、観光案内の地図に薬草園と書いてあった。
植物好きの家内が「行って見たい」と言うので、普段動物の撮影ばかりに付き合わせている罪滅ぼしに寄り道することにした。
立派な門に「城西国際大学薬草園」の表札があり、無料で入れた。
薬草園の中は幾つもの区割りがされていて、それぞれに薬草が植えてあった。
時期的に数は少なかったが、馴染みの薬草があったり、名前を聞いたことはあるが実物を見るのは初めてという薬草があったりと楽しんで見てまわっていた。
ある区画に水仙の花が咲いていて、「何で!!」と思ったら、側の木札に有毒植物と書いてあった。
「ゆ〜うどくしょくぶつ〜」、初めて知った私たちは、びっくりして思わず顔を見合わせた。
と同時に水仙まつりの可憐な花たちに裏切られたような気がして、昨日見た風景が色褪せて思いだされた。
当時はスマホが無かったので帰宅して調べたら、球根の部分に有毒成分が多く漢方薬の材料になり、素手で触ることも気を付けた方がよいと判った。
昨年暮れ、新型コロナの感染者が30人以下になったので、常連客の紹介で温泉へ泊りにいった。
夕食の八寸に、茎の長さ4センチぐらいの水仙の花が飾りとして載っていた。
規模が大きくないところでは、板長が季節の飾りを近所で調達してきて載せることがある。
多分、ここの庭の片隅にでも咲いていたものだろう。
私たちは有毒植物だと知っているので、触ることなくお皿を返した。
そして「あの時はびっくりしたね」と20年以上まえの薬草園のことを思い出し、食卓の話題にした。
毒のある事を女将に話そうかと思ったが、紹介者の手前もあり、仮に食べたとしても量的に大事にはならないだろうとそのままにした。
時期を見て管轄する保健所に施設名を明かさず、メールをしようと思っている。
料理がおいしく、温泉も良かったのでまた行きたいと思っているが、オミクロン株が急速に感染拡大しているので当分の間様子見することにしている。
春先にニラと間違えて中毒する事故もあるようなので、水仙にはお気をつけください。
注)薬草園は2015年3月に閉園になりました。