徒歩圏内の水路で1月中頃から頻繁にカワセミを見るようになった。
緊急事態宣言が出ていても、健康維持のための散歩は許されていたので、天候と時間が許せば観察に出かけていた。

カワセミは嘴は長いが体はスズメと同じぐらいの小型の鳥なので、見慣れない人にはなかなか見つける事がむずかしく、水面近くを低く速く飛ぶのでなおさらだ。
鳴き声も何回か聞けば、「アッいる」と判るようになるが決して美声ではない。
私がシャッターを切っていると、何がいるのですかと聞かれることがある。
「カワセミです」というと、10人中10人の人が興味を示す。
TVや写真で見たことがあって、色がきれいな鳥というイメージを持っているのだがズームアップした姿を見ているので大きい鳥だと勘違いしている人が多い。
あそこの枝に止まっていますよと指差しても、見つけられる人は10人に1人ぐらいで、大抵の人は私がファインダーを覗いている間にあきらめて去っていった。

こういう所に止まっていると、見つけにくい。
3月の初めごろ、下流のほうに巣のある場所を偶然見つけた。
巣の近くではオス2羽、メス1羽の3羽のカワセミが飛び交い、そのうちメスの出現が少なくなったので産卵、育雛をしていたのだろか。
相変わらず2羽のオスが飛び回っているのだが、どちらとペアなのか判らなかった。

ヤマベを咥えるカワセミ
この巣を見降ろす場所はカメラマンのたまり場になって、いろいろ情報交換をした。
昨年は上流に巣を作ったが、ヘビにやられて放棄してしまったと聞いた。
今年は巣立って欲しいというのがカメラマン達の願いだった。
3月末、中学生5〜6人が河原に毎日遊びにやってきて、川の浅瀬に入って大きな声を出したり、石を放り込んだりしていた。
巣から10数メートルのところなので、あんまり騒がないでと思っていた。
4月になって行ってみると、鳥が姿を見せなくなっていて、カメラマンも来なくなった。
それ以来、下流部でも上流部でもカワセミの姿が見られなくなった。
暑い夏が過ぎ、秋めいてきた9月の末、水面近くを飛ぶカワセミを発見した。
なんと半年ぶりの遭遇である。
その3日後、ようやくカメラに収めることが出来た。

どうも今年巣立った若鳥のようだ。
それ以来、遭遇率70パーセントぐらいで見かけているし、夕方少し薄暗くなっても、雨天の日でも活動していることを確認した。
いつも下流部の方へ飛んでゆくので、どこに巣があるのか見つけたいと思っている。