そんな日差しにつられ、春気分で出かけると意外に寒かったりするのが今頃の陽気だ。
それでも、日に日に春遠からじと感じる。
昨年の12月に飛来したヒメハジロは、ひと冬をここで過ごした。
見つけた当初は1週間程度でどこかへ行くだろうと思っていたが、この川原でヒメフィーバーを起こした。
連日、大勢のカメラマンが詰めかけシャッター音が響いたが、最近では10人程度に減り、泳いでいる姿を撮り飽きた人は飛び立つ姿を撮ろうと、寒風に晒されながら根気強くチャンスを伺っている。
一時行方不明になったとの情報があったらしく、カメラマンが一人もいない日があった。
鳥屋さんの情報の速さに驚くが、その日ヒメハジロは戻って来ていて、悠然と泳ぎまわる姿を独り占めした。
飛来当初、広い川幅の中程より向こう側にいたが、最近では人馴れして手が届きそうなところまで来るようになった。

近いので、潜水する姿が川岸から丸見えだ。
この川原の上空にはオオタカが頻繁に出現する。
ある日川に着いた時、オオタカが上空で左旋回するのが見え、何か白いモノを掴んでいるように見えた。
地味な色のカモ達に混じって、白く目立つヒメハジロは襲われる危険があり、「やられたか」と思った。
川原を斜めに突っ切って、ヒメハジロが居る方向へ急いだ。
ススキの間から何台ものカメラが見えたので、「大丈夫だった」と安心した。
最近では、何時までいるのだろうかとか、一羽で北米の方まで帰れるのだろうかとか、写真もそっちのけで噂しあっている。
昨年来よりヒメハジロが話題を提供してくれているが、その他の成果は乏しい。

クロスジエダフユシャク
昨年末に1頭だけ見つけた。
フユシャクシーズンの初期だったので、その後あちこちへ出かけたが全部空振りだった。
フユシャク類は成虫になると食事をしない、と言うよりも水分を摂取すると体内で凍ってしまうので食事器官が退化したと考えられている。
それでも、1ヶ月程度は活動するらしいから凄い生命力だ。
メスは翅も退化している。
歩き回りながら、尾部から出すフェロモンでオスを呼び交尾する。
そういうメスを長年探しているが、今シーズンも会えず仕舞になりそうだ。

ツグミ 2月になって今シーズンの初見。
いつもは12月にいるはずのグランドへ出かけていたが、飛来数が少ないのか最近になってようやく出会えた。

カンアオイ
定期的に観察しに行くが、まだ花をつけていない。

ハンノキ
条件的には有ってもおかしくないと探していたら、池の端に1本だけ生えているのを見つけたけれど、1本だけでは私の好きなミドリシジミを期待できないだろう。
花粉飛散の先駆けとなる木だが、房状の花はまだ咲いていない。
もうすぐ陽当たりの良い南向きの土手に、新生チョウや成虫越冬したチョウたちが現れるだろう。
それまで、もう少しの辛抱だ。