公園の植え込みから突き出たエノキが何本か目についた。
よく見ると、その中の1本は葉がきれいに無くなっていたのでアカボシゴマダラの仕業だなと見当がついた。

終齢幼虫の食欲は旺盛で、葉を食する音が聞こえるようだ。
これだけ食痕があるのだからと周辺をみまわすと、蛹がみつかった。

色がおかしいなと思いながら、指でツンツンしてみる。
元気な蛹は触るとクネクネ動くが、これはピクリともしない。
取り敢えず写真を撮っておいた。
家に帰って調べると、普通は緑色だが蛹期の末期は環境によってこんな色になることもあるようだ。
気になったので、2日おいて同じ場所に行ってみた。
蛹をそっとつまむと、干からびていた。
蛹になってから寄生バチかサシガメなどにやられたようだ。
大体だが100個の卵から成虫になるのは1頭と言われているように、成虫になるまでの困難を目のあたりにした出来事だった。
日本ではアカボシゴマダラが奄美群島と周辺の島々に固有の亜種として分布していて、東京で10年ぐらい前から見られるようになったものは、中国から人為的に持ち込まれたと言われている。
いまでは関東一円に分布を拡げ、一昨年には山梨県の西部で確認され、公園の管理員の人が自慢気に写真を見せてくれた。
山梨県西部は食餌植物のエノキが非常に多いところなので、短時間で分布が拡がると思われる。
私が初めて遭遇したのは北本市にある自然観察公園であった。
フワフワした飛び方だが飛翔力は強く、荒川流域の秋ヶ瀬公園で初めて確認され後、20キロほど上流の観察公園にいても不思議ではなかった。

アカボシゴマダラ ♀ 2010年初撮り
その後、春先だけに現れる白化型を見たいと思っていたら、我が家から数分の小さな公園で見つけた。

後翅に赤斑のない白化型
樹上にいたものが吸水のため地上に降りてきた。
晩秋の公園へクロコノマチョウを見に行ったとき、薄暗くなった上空をフワフワと飛ぶ姿があった。
夕方だったのでかなり気温が低かったと記憶しているが、寒さにも強いようだ。
アカボシゴマダラはエノキの幼木に産卵するので、観察しやすい。
今頃は1〜2齢の幼虫に育っているはずなので、食痕を見つけたら良く探してみよう。
4列ある背中の突起の3番目が大きく、尾端の突起が開いていないことで見分けられる。
ホソオチョウとともに要注意外来生物に指定されていて、見つけても素直に喜べず複雑な気持ちになるのは私だけだろうか?